受精卵着床前検査(PGT-A/PGT-SR)
PGT-A/PGT-SRの料金
項目 | 料金(税込み) |
---|---|
着床前診断(PGT-A/PGT-SR)1個あたり(胚生検、解析検査含む) | 104,500円 |
専門医による遺伝カウンセリング(初回)(1時間30分まで) | 11,000円 |
専門医による遺伝カウンセリング(2回目以降)(1時間30分まで) | 5,500円 |
1時間30分以降 | 3,300円/30分ごと |
PGT-A/PGT-SRを行う場合、採卵周期、 PGT-A/PGT-SRの検査費用、受精胚の凍結とその後の胚移植までの費用を含め全て自費診療となります。
体外受精(自費)料金表
PGT-A/PGT-SRについて
胚移植1回あたりの妊娠継続率の向上を目的として、体外受精を行った受精卵に対し、着床前に染色体の数や構造について検査します。
染色体の検査は、体外で5日目まで育てた形態良好胚に対し、将来胎児とならない部分の細胞の一部を採取し、その細胞の染色体の数や構造について調べます。
PGT-A/PGT-SRで調べる「染色体異常」とは染色体全体の数的異常や大きな部分的過不足、構造異常で限定された情報開示であり、遺伝子配列のすべてを調べるものではありません。また、特別な場合を除き、性染色体の情報は開示されません。
PGT-A/PGT-SRの適応条件
PGT-A
- 体外受精胚移植を2回以上不成功の既往を有する不妊症の夫婦
- 流死産の既往を2回以上有する不育症の夫婦
PGT-SR
- 夫婦いずれかの染色体構造異常(均衡型染色体転座など)が確認されている不育症(もしくは不妊症)の夫婦
(娠既往もしくは流死産既往の有無は問いません)
PGT-A/PGT-SRの利点と問題点について
利点
- PGT-A/PGT-SRを行い移植を推奨できる胚を得ることができれば着床率、妊娠継続率が向上し、妊娠までの期間短縮され、流産での精神的、身体的負担が低下することが期待されます。
- 日本で行ったパイロット試験でも、移植当たりの妊娠率の向上、流産率の低下が報告されています。
問題点
- 胚生検時のダメージによる着床不全、流産などの可能性は否定できません。
- PGT-A/PGT-SRでは限られた数の細胞の検査であるため胚全体の状態を正確に反映していないことがあり、誤診断となる可能性があります。また、採取した細胞の中に染色体が正常であるものと異数性のものが混在するモザイクという状態もあります。
- 流産の原因は胎児の染色体異常以外にも多く存在するため、PGTを行っても流産となる可能性があります。
- PGT-A/PGT-SRは染色体の数や構造異常を確認する方法であり、微細な染色体異常を確認するものではありません。精密な検査を必要とされる場合には出生前診断(NIPTや羊水検査等)をご検討下さい。
- 染色体の数的異常の場所によっては21番染色体トリソミーなどの妊娠継続可能な数的異常について判定してしまう場合があります。
- 長期的な出生児の経過観察の結果については十分にわかっていません。
PGT-A/PGT-SRは反復不成功の方や反復流産の方には着床継続の可能性を高めるための有効な手段といえます。移植推奨胚が得られた場合には年齢が上がっても妊娠率が低下せず、着床率の向上や流産率の低下が期待されます(※1)。
一方で、女性の年齢が高くなるほど異数性の胚の割合も高くなることがわかっており、移植推奨胚が得られない場合を含めると、採卵1回あたりの妊娠率や出産率を高めるわけではありません(※1)。
このような点も考慮して検査についてご検討ください。
※1Simon, Alexander L., et al. “Pregnancy outcomes from more than 1,800 in vitro fertilization cycles with the use of 24-chromosome single-nucleotide polymorphism–based preimplantation genetic testing for aneuploidy.” Fertility and sterility 110.1(2018): 113-121.
PGT-A/PGT-SR検査の流れ
PGT-SRの場合には検査前までに臨床遺伝専門医によるカウンセリングを受ける必要があります。
PGT-SRの場合には検査結果が分かった後に再度臨床遺伝専門医によるカウンセリングを受ける必要があります。