[不妊治療]体外受精・胚移植

体外受精・胚移植

体外受精・胚移植(以下IVF-ET)の医学的適応は

  • 両側卵管が完全閉塞しているか、あるいは手術で卵管を取ってしまった卵管性不妊。
  • 無精子症のうち精巣あるいは精巣上体に成熟精子が認められる男性不妊症例。
  • 以上の2つがIVF-ETの絶対的適応になります。
    その他の適応は、

  • 乏精子症、精子無力症があり、その原因究明のために専門医による診察・検査が行われ、治療が一定の期間行われたにもかかわらず回復が認められず、人工授精によっても妊娠成立にいたらない場合が適応となります。
  • 女性に抗精子抗体が存在して、それが原因で人工授精まで試みても妊娠が成立しない場合。
  • その他に、現在の医学水準では分からない不妊因子(原因不明不妊)もあるはずです。
    その不妊因子が分からないから適応にならないと言うのでは、妊娠の機会を逸してしまうかもしれません。
    積極的卵巣刺激(排卵誘発)や人工授精を試みたにもかかわらず妊娠に至らない場合があります。
    そのような場合も適応になります。
    治療歴や対象者の年令を考慮したうえで決めます。

日本産科婦人科学会の会告によると、IVF-ETの適応は「本法は、これ以外の医療行為によって妊娠成立の見込みがないと判断されるものを対象とする。」とされています。
こらは、有効性が期待できる他の治療が存在する患者さんに対して、それらの治療を先行させることなくIVF-ETを安易に行うことに対する戒めであると解釈できます。

原因不明不妊の中には、実際に体外受精を行ってみると、原因が見えてくる事があります。

  • 卵巣刺激をしてみると卵胞が育たないことがあります。
    こういう方は卵巣予備能が低下している状態です。
    原因は年令、遺伝的、免疫的などが考えられます。
    卵巣刺激開始前のホルモン検査や超音波検査である程度の予想は可能です。
  • 精液検査では精子数、濃度、運動率、奇形率は正常で精子には問題ないと言われていた方のなかにも、実際に体外受精を行ってみると、精子が卵子を囲んでいる透明帯という膜を通過できないなどの問題が起こってくることがありあます。
    従来の検査では分からなかったことですが、精子の能力に問題があることが分かります。
    顕微授精を行って精子を卵子の中に人工的に直接送り込んでやります。
  • 精子が透明帯を通過できても精子の核(遺伝子本体)が卵子の核と融合できないことがあります。
    つまり、授精ができないことになります。
    卵子や精子の質の問題になります。
  • 授精ができても受精卵が分割する段階で停止してしまう成熟障害があります。
    これは卵子の質の問題になってきます。
    卵子の染色体の異常、加齢による卵子の質の低下(卵子の老化)などが原因です。
  • 良好な胚まで成熟して、それを子宮に戻しても(胚移植)妊娠にいたらない場合は胚と子宮内膜、および両者の相互関係に問題があります。
    着床の問題は多くの研究者が解決に取り組んでいますが、クリアできない大きな問題の一つです。

このように、IVF-ETの各ステップを踏む過程において問題が見えてきます。

[不妊治療]排卵誘発

排卵誘発

LONG プロトコール

ロングプロトコールというのは、GrRHアナローグ(ブセレキュアやスプレキュア、ナサニールなど)を前周期の高温期より使用します。
確実に自分のホルモンを抑えながらhMGを使い、複数の均等な成熟卵胞を作ることを目的としています。

  • ブセレキュア(スプレキュア、ナサニール)を前周期の高温期中期から使い始めます。
  • 月経2~3日目頃からhMG(性腺刺激ホルモン)を連日注射します。(平均10回位)
  • 多数の卵胞が成熟し、そのうち2~3個の直径が18mmになったら、卵胞破裂と最後の卵子の成長を促すhCGを注射します。
  • hCG注射後34~36時間後(卵胞破裂直前)に卵胞を穿刺し、卵子を採取します。(採卵)

GnRH アンタゴニスト・プロトコール

GnRHアンタゴニスト・プロトコールというのは、ロングプロトコールで使うGrRHアナローグ(ブセレキュアやスプレキュア、ナサニールなど)の代わりにGnRHアンタゴニスト(セトロタイド)を使い、下垂体から自発的にLHが出て勝手に排卵してしまうのを防ぎます。
hMGを使うことで複数の成熟卵胞を作ることを目的としています。

  • 月経2~3日目頃からhMG(性腺刺激ホルモン)を連日注射します。(平均10回位)
  • 主席卵胞が14mmになったら採卵前日まで連日セトロタイドを注射します。
  • 多数の卵胞が成熟し、そのうち2~3個の直径が18mmになったら、卵胞破裂と最後の卵子の成長を促すhCGを注射します。
  • hCG注射後34~36時間後(卵胞破裂直前)に卵胞を穿刺し、卵子を採取します。(採卵)
  • セトロタイドは欧米では一般的に使われていますが、日本ではまだ発売されていません。
    卵巣過剰刺激症候群の発生がGnRHアナログを使ったロングプロトコールよりも少ない、採卵日までの日数も短く、hMGの使用量が少なくなるという利点があります。

SHORT プロトコール

SHORTプロトコールというのは、ブセレキュアやスプレキュア、ナサニールを月経が始まった頃から使用し、フレア現象を利用しながらhMGを使うことで複数の成熟卵胞を作ることを目的としています。

  • ブセレキュア(スプレキュア、ナサニール)を月経1日目から使い始めます。
  • 月経2~3日目頃からhMG(性腺刺激ホルモン)を連日注射します。(平均10回位)
  • 多数の卵胞が成熟し、そのうち2~3個の直径が18mmになったら、卵胞破裂と最後の卵子の成長を促すhCGを注射します。
  • hCG注射後34~36時間後(卵胞破裂直前)に卵胞を穿刺し、卵子を採取します。(採卵)

OC-GnRH アナログ・プロトコール

この排卵誘発法はピル(OC)とGnRHアナログ(ブセレキュアやスプレキュア、ナサニール)を使用することで、より強力にLH・FSHホルモンを抑え、適度な数の良質な成熟卵を作ることを目的としています。

  • 月経の1日目からプラノバールを1日1回14日間内服します。
  • 内服を始めて14日目(プラノバール最後の日)からブセレキュア(スプレキュア)を1日3回(ナサニールは2回)使い始めます。
  • ブセレキュア(スプレキュア、ナサニール)を使い始めて4日前後でまた月経がきます。
    月経の3~4日目で受診してください。
    hMGの注射が始まります。(連日10回位)
  • 多数の卵胞が成熟し、そのうち2~3個の直径が約18mmになったら、卵胞破裂と最後の卵子の成長を促すhCGを注射します。
  • hCG注射後34~36時間後頃(卵胞破裂直前)に卵胞を穿刺し、卵子を採取します。(採卵)

Friendly IVF

Friendly-IVFとは、GnRHアゴニスト(スプレキュア・ブセレキュア・ナサニールなど)を使用しない排卵誘発法です。
この方法は、GnRHアゴニストの下垂体や卵巣への抑制が少なく、採卵数は若干少なくなりますが、比較的良好卵を得ることができます。
よって卵巣過剰刺激(OHSS)になりやすい人や、良好卵が得られにくい人によい方法です。

  • 月経2日目よりアロマターゼ阻害剤(フェマーラ・アリミデックス)を1日1回5日間服用します。
    または、月経1~2日目よりクロミフェンを1日2回5日間服用します。
  • 3日目頃より比較的少量のhMGを投与して、卵胞16~18mmになった時点でhCGまたはGnRHアゴニスト(ブセレキュア点鼻)を用いて排卵させます。
    ときに、早発排卵を抑えるためにGnRHアンタゴニスト(セトロタイド)を使用することもあります。
  • hCG注射後、34~36時間後(卵胞破裂直前)に卵胞を穿刺し、卵子を採取します。(採卵)

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